So-net無料ブログ作成
  • ブログをはじめる
  • ログイン

書作品製作の要諦(2018年5月号) [2018]

 書作品、例えばここでは漢字の条幅作品を製作するとしましょう。誌上展に向けて何を書くかについてお悩みの方は墨場必携類を参照されるとよいのではないでしょうか。墨場必携は書作品の題材となる言葉が集められています。四季に関するもの、慶賀、哀傷、旅情、風雅、教養等々のジャンルごとに、それぞれ文字数別に整理されているのが一般的です。
 まずは文字数です。条幅作品、ここでは最もポピュラーな小画仙半切サイズで考えてみましょう。十文字位迄なら一行で収めるとよいでしょう。十二文字~二十文字位迄なら二行書きです。二十文字は漢詩の五言絶句の文字数です。七言絶句となれば二十八文字になりますので、三行書きがふさわしいでしょう。
 文字数が決まったら、今度は言葉選びです。文字数も言葉もイメージ通りだからといってよしとはいきません。実際に書いてみたら、意外に同じ点画が連続していたり、行どうしがうまく調和しなかったりすることもあるものです。書作品として見せ場や変化をつけられる造形性、運筆のイントネーション性を考慮して題材を選ぶことが必要です。もちろん、楷・行・草・篆・隷など、どんな書体で書くかによってこれは変わってくることは言うまでもありません。
 作品には落款(書者名や詩の作者名、日付、題名等々)を書き入れます。「落款全幅を破る」という言葉がある位、作品本文が立派に書けているのに、落款が調和していないがために作品全体が台無しになってしまうことがあります。そうならないためにも、作品本文と同じか、それ以上に落款の書きぶりに注意を払うべきです。黒一色の中に朱で書美を極立たせる印の選定も重要です。落款印(姓名印・雅印)だけではなく、冠冒印、押脚印などの使い方次第で、作品がぐっと引き締まってきます。
 最後にお勧めしたい点は、ぜひ未経験の言葉、書式に挑戦するということです。自らの頭をひねって完成させた作品は、書き慣れた隙のない書と比べ、書を通して鑑賞者との間に深い対話が生まれるものです。これは巧拙を問うものではありません。書の生みの苦しみは、必ずやそれ以上の豊かさをもたらしてくれるはずです。